固定残業代についてのご質問でよく勘違いされていらっしゃる方がおりますので
簡単に解説していきます。
固定残業代とは通常の給与の中に
あらかじめ一定の時間分の残業代(割増賃金)を固定残業手当として支給しておくものです。
例えば月平均所定労働時間が160時間として
月給が200,000円である場合
200,000円(月給)÷160時間(月平均所労時間)=1,250円が1時間あたりの給与となり
20時間分の固定残業代を見込もうと思ったら
1,250円(時間給)×1.25(割増率)=1,563円(1円未満切上)×20時間=31,260円が固定残業手当になり
200,000円(基本給)+31,260円(固定残業手当20時間分)=231,260円が月給となります。
固定残業代が事前に一定時間分の残業手当を支払うという事はお分かりになるかと思いますが
導入を検討される会社様でよくあるのが
現在250,000円の給与を支払っていて
その総枠を変えずにその中に固定残業代を盛り込もうとするパターン
現在の基本給が250,000円であるところに20時間分の固定残業代を見込もうと思ったとき
160時間(月所定労働時間)+(20時間(固定残業分)×1.25(割増率))=185時間
を250,000円で割ると1時間あたりの給与が1,351円となり、
本来であれば1時間あたりの給与が250,000円÷160時間=1,562円で時間給が211円減給された事と同じになってしまいます。
これは労働条件の不利益変更となってしまい会社が一方的に条件を変更することができませんが
相談される会社様は当たり前のようにできる前提でご相談いただくケースが結構多いです。
では、この労働条件は変更できないのか?というとできないわけではなく
「労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる」
と規程されており合意を得ることができれば上記のように給与の総額を変えずに
固定残業を導入することはできなくはありません。
しかしこの同意とはこの従業員の方の真の同意が必要になり
「労働条件を変えるからこの契約書にハンコ押しておいて」
などと軽くハンコを押させたとしても後々問題になる可能性がありますし
説明を受けたとしても、真の意味で「納得」して同意をできる人はそうそういないと思います。
それを考えると
現在の給与をベースに固定残業代を上乗せして支払う方が普通であり
残業代を減らすための制度ではなく
あくまでも、ある一定時間の残業までは給与計算時に残業代計算を省くことができる制度だと
考えて頂ければと思います。
こちらはさすがに最近あまりないとは思いますが
固定残業代を支払えば何10時間でも残業させ放題だと思われているパターン
固定残業代は先に一定時間分の残業代を支払っているだけで
その一定時間を超えた残業時間は当然ながら通常の残業手当と同様に割増賃金として
支給する必要があります。
(当然固定残業代を支払っているから労働時間を管理しなくても良いという事はありません)
固定残業代の導入を検討する場合は
・新しく固定残業代を支給する時は現在の給与にその一定時間分の残業代を上乗せする必要がある
・固定残業代とは事前に一定時間分の残業手当を支払う制度なので、その一定時間を超えたらその分の残業代を支払う必要がある
という事をちゃんと理解したうえでご検討頂ければと思います。
また、このようなルールを変更する場合にはその規定を盛り込んだ就業規則や雇用契約書を作成して整備しておく必要がございます。
就業規則に関しては作成して届け出ておくだけでなく、しっかり社内に周知する必要がありますのでそちらもご注意ください。
たんぽぽ人事では就業規則や雇用契約書などの作成や修正などのご相談も承っております。
初回相談無料ですので、お気軽にお問い合わせください。